大阪府吹田市の府道で観光バスが柱に激突、27人が死傷しました。バスを運行する会社は長野県松川村(人口約1万人)に本社を構える家族経営の会社です。ハンドルを握っていたのは、大型二種免許(業務用自動車の運転免許)を約半年前に取得したばかりの兄(21歳)、添乗員として乗務し、今回の事故で亡くなったのは弟(16歳)です。バス会社の経営は認可制から許可制へと規制緩和されたため、バス業界への新規参入する企業の数は急増、しかしスキー離れの加速などに伴い、バスツアーの需要は減少。そこで起こるのは、バス料金のダンピングです。ドライバーは昼夜逆転生活に加え、週に4回以上、ハンドルを握る方もいます。当然、離職率は高く、ドライバーの入れ替わりは激しいのですが、そもそも、ドライバーはあまり気味なので、求人をかけるとすぐに集まるため、事実上、使い捨てされている状態です。自分も一、消費者として、ネットや旅行情報誌で一円でも安いツアーを探し、そのツアーを見つけたときは「何だか、得をした」とうれしくなっていましたが、その喜びを提供するために、誰かが犠牲になっているかと思うと、手放しに喜んでばかりはいられません。高く売ることは「悪」、安く売ることは「良」という風潮が強まっていますが、人の命を落としてまで、自己犠牲を払ってまで、消費者に「安く」提供することは果たして、よいビジネスと呼べるのでしょうか?規制緩和の美名のもと、犠牲になるのは、しわよせがいくのは、必ず参入障壁の低い業界で働く人だということを思い知らされました。「規制緩和は命を縮める恐れもある」バス事故のニュースを見ながら感じました。
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